久保木 秀夫 教授

専攻

中世文学

略歴

日本大学文理学部国文学科を卒業し、同じ日大の大学院に進学したあと、国文学研究資料館の助手・助教(11年)、鶴見大学文学部ドキュメンテーション学科の「書誌学コース」担当教員(8年)を経て、2018年度に、この日大の国文学科に着任しました。

研究分野

中古中世の和歌や、仮名散文に関しての、原本資料(何百年も昔に作られた書物そのもの)の発掘、調査、研究を専門としています。いろんな作品の、たくさんの写本や版本、また古写本を分割した古筆切(こひつぎれ)などを徹底的に調べ上げ、それぞれ特有の資料的価値を明らかにすることを目指しています。これまでに、例えばこんな本も出してきました。

 

『林葉和歌集 研究と校本』(2007年、笠間書院)
『中古中世散佚歌集研究』(2009年、青簡舎)
『日本の書と紙 古筆手鑑『かたばみ帖』の世界』(共著、2012年、三弥井書店)
『新古今和歌集の新しい歌が見つかった! 800年以上埋もれていた幻の一首の謎を探る』(共著、2014年、笠間書院)

 

こんな資料があったのかという、まさにお宝探しです。学生の皆さんと、その面白さを共有できたら、嬉しいです。

私の学生時代

古典文学研究は面白いんだ、と実感したのは、4年生になって卒論に本格的に取り組み始めてからでした。それまでは、学内の映画サークルに所属したり、映画館でアルバイトしたり、探偵小説とかノンフィクションとかを読んだりと、けっこう気ままな学生生活を送っていました。あまり模範的ではなさそうですが、それはそれで、とても楽しい学生時代だったなと、20年以上経った今でも思っています。

担当授業科目

基礎演習1、書物文化研究、中古文学講義、特殊研究ゼミナール、などなどです。
担当授業のほとんどすべてに、程度の差はあれ、いわゆる「くずし字」を読み解く訓練を潜り込ませてあります。くずし字は読めるようになると、それだけで楽しいですし、見える世界が俄然広がってくるはずです。

ゼミナール紹介

2020年度で3年目を迎えるゼミです。2019年度、第1期の(初めての)ゼミ生さんたちが卒業していきました。2期生含め、とてもよいメンバーに恵まれています。2020年度の3期生も期待大です。ゼミは基本的にゼミ生さんたちのもの、と考えていますので、その主体性・積極性に期待しています。

 

学んでいく内容は、中古中世文学に関する写本や版本、古筆切といった原本資料(複製本や図版類をも含めます)の調査・研究方法です。ひとつの作品に絞り込むかたちではなく、多様な原本資料を対象としていきます。何百年も昔に作られた書物に関心のある人は、ぜひ!と思っています。

卒業論文指導

基本的には、中古中世文学に関する原本資料を、何らかの形で活用した研究、となります。ただしもちろん、ゼミ所属の学生さんたちの意向も大事、と考えています。話し合いと意思疎通を積み重ねていきたいと思います。

推薦図書

堀部正二『中古日本文学の研究』(1943年、教育図書)
井上宗雄『中世歌壇史の研究 改訂増補』(1984〜87年、風間書房・明治書院)
高田信敬『源氏物語考証稿』(2010年、武蔵野書院)
加藤昌嘉『揺れ動く源氏物語』『源氏物語前後左右』(2011・14年、勉誠出版)
佐々木孝浩『日本古典書誌論』(2016年、笠間書院)
小川剛生『中世和歌史の研究』(2017年、塙書房)『兼好法師』(2017年、中公新書)

 

国文学研究資料館編『古典籍研究ガイダンス 王朝文学を読むために』(2012年、笠間書院)

オフィスアワー

火曜日の昼休みとします。