錯体分子化学 周研究室
新規機能性材料を設計・開発することを目的として、主に金属錯体が示す電気と磁気物性に注目した研究を行っています。
研究テーマ
ポーラス結晶を用いた新しい誘電体の開発
ポーラス(Porous)結晶は遷移金属イオンと有機配位子によって構成された、非常に高い比表面積・大きな細孔容量を有する新規な多孔性材料です。また、ポーラス空間に閉じ込められた分子集合体はバルクな分子集合体と異なる振る舞いを示す事が予想されます。
即ち、極性を持つ小分子(ゲスト分子)と遷移金属磁性イオンを含み磁気転移を示すポーラス金属錯体(ホスト結晶)を組み合わせて、新規な磁性誘電体などを実現することができます。本研究室では水熱合成法を用いて、興味ある磁性を持つ新しいポーラス結晶を合成し、ポーラス空間に有極性分子を導入し、閉じこめられたゲスト分子の運動に由来する構造相転移の可能性を検討します。更に、ホスト格子の構造的特性や機能(磁性)とゲスト分子の機能に結びついた新たな分子性マルチ機能性物質の開発を行っています。

単一分子性伝導体の開発
従来の分子性金属は二種類以上の分子種から構成されていたのに対し、拡張テトラチアフルバレン骨格を持つジチオレン配位子を用いた金属錯体[Ni(tmdt)2]は初めての一種類の分子種から構成された単一分子性金属です。単一分子性伝導体の中心金属の違いにより電子物性が大きく異なる特徴があることから、分子性物質の電子構造、機能を理解するのに重要な情報を提供できます。
また、同一分子に伝導性を担うπ電子と磁性の源となるd電子の両方を含んだ単一分子磁性伝導体は強いπ-d相互作用が期待できます。本研究室ではこれまで得た結晶成長の知識を発展させ、新規な単一分子性磁性伝導体や超伝導体の開発を目指しています。

STAFF
1993年 | 第25回国際化学オリンピック(IChO) 金メダル受賞 |
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1997年 | 中国北京大学理学部化学科卒 |
2003年 | 中国北京大学大学院理学系研究科化学専攻修了 博士(理学) |
2003年 | 東京大学理学部研究科付属スペクトル化学研究センター 博士研究員 |
2004年 | 東京大学理学部研究科付属スペクトル化学研究センター 日本学術振興会(JSPS) 外国人特別研究員 |
2006年 | 日本大学文理学部化学科 助手 |
2007年 | 日本大学文理学部化学科 助教 |
2013年 | 日本大学文理学部化学科 准教授 |
2018年 | 日本大学文理学部化学科 教授 |
所属学会
日本化学会、中国化学会、アメリカ化学会
●助 手 : 亀渕 萌 Hajime Kamebuchi
●Email : kamebuchi.hajime@nihon-u.ac.jp
●Office : 本館7階 07100室(化学707室)
●日本大学研究者情報はこちら
2010年3月 | 東京理科大学理学部第一部化学科卒業 |
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2012年3月 | 東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了 |
2013年4月 | 日本学術振興会特別研究員(DC2)(2015年3月まで) |
2015年3月 | 東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了 |
2015年4月 | 東京理科大学研究推進機構総合研究院 ポストドクトラル研究員 |
2015年7月 | 東京理科大学理学部第一部化学科 助教 |
2020年4月 | 現職 |
2021年4月 | 国士舘大学理工学部理工学科 非常勤講師 |
2021年4月 | 東京理科大学理学部第二部化学科 講師(非常勤) |
所属学会
日本化学会、錯体化学会、分子科学会、錯体化学若手の会、ホストーゲスト・超分子化学研究会、メスバウアー分光研究会、American Chemical Society