細胞生物学研究室
安原徳子 准教授
細胞の神秘 ー核への情報伝達の仕組みに迫る
細胞生物学(安原)研究室では、細胞核の働きを分子の流通をとらえることで解き明かします。研究は動物細胞を用い、分子生物学、細胞生物学的な実験方法を駆使して細胞の神秘に迫ります。

研究に使用するヒトがん組織由来の培養細胞。研究には主にマウスやヒトなどの動物培養細胞を使用します。
研究内容
真核生物の細胞に存在する核は、遺伝情報を守る大切な細胞小器官です。この核は、核膜という二重膜でおおわれ、外とは隔離されています。細胞が生きていくうえで、遺伝情報を必要な時にうまく利用した活動が欠かせません。それには、細胞の周りで起こる様々な変化に対応し、隔離されている核にその情報を伝えなければなりません。私たちの研究室では、このような核に情報を伝える仕組みである「核輸送」について研究します。
核機能と核輸送
生物の遺伝情報の本体はゲノムDNAです。ゲノムDNAには、生存に必要不可欠な遺伝情報が盛り込まれています。人で2mにもなるゲノムDNAは、タンパク質に巻きついて立体構造をとり、コンパクトに折りたたまれ、直径3~10マイクロメートルという小さな核の中に入っています。細胞が環境に応じて活動する際には、この立体構造が変化して遺伝情報が読み取られます。細胞は様々な仕組みを利用して、生存に必要な遺伝情報を利用しながら生きているのです。このような、遺伝情報を利用する仕組みを考えると、細胞核の機能をいかにコントロールするかが重要なことに気づきます。真核生物の核は核膜に覆われているため、核内部の状態は、細胞質とは別に調節することができます。私たちの研究室では、核に情報分子を運び入れる核輸送によりいかにして核の機能がコントロールされているか探求します。
細胞運命決定と核輸送
動物が受精卵から個体になる過程で、個々の細胞は核にある遺伝情報を適切に利用し、様々なシグナルに応答して特定の種類の細胞へと変化していきます。その際、核内外の環境を整え、遺伝子のはたらきを適切に制御する必要があります。このような細胞分化、発生をつかさどる遺伝子発現制御のしくみを、細胞核の機能調節という観点から研究します。また、正常な細胞ががん化する際には、遺伝子の変異により核機能が異常をきたし、脱分化や分化を含む様々な反応系を引き起こします。がん化の仕組みを明らかにするには、このような核機能の異常をとらえて研究する必要があります。私たちの研究室では分子生物学、細胞生物学、発生学の技術を用いて、細胞分化、発生およびがん化に際する遺伝子制御のメカニズム解明を目指す研究を行います。
【連絡先】
日本大学 文理学部 生命科学科 細胞生物学(安原)研究室
■住所: 〒156-8550 東京都世田谷区桜上水3-25-40
■メールアドレス:yasuhara.noriko(at)nihon-u.ac.jp(atは@に変更してください)