女性研究者への情報提供
自分の所属する生態学会や森林学会では、子連れでの学会参加、女性研究者の活躍を目にしていたので、昔の話を掲載する必要はないと思っていたのですが、まだまだ孤独な闘いを強いられている学術分野もあるようなので情報提供いたします。
前任校でX年10月1日~翌年9月30日まで産休・育休を取得しました。
産休・育休にともなう代替教員獲得までの道のりを示します。前任校で初の代替教員制度の利用です。私の後任も同様にこの制度を利用できたそうです。
他の教員・研究者の参考になれば幸いです。また、代替教員の採用は、産休・育休期間中の当該教員だけでなく、 「残された教員」への業務負担を軽減する上で重要であると思われます。WinWinの関係であることを意識しましょう。妊婦が簡単に比較できるよう妊娠週数で示します。
産休に入る際の私の立場
・任期5年(再任1回可)助教の4年目。PDなどでは任期の問題で育休がとれなかったりする事例もあると聞くが、任期はあるものの、そのときの私の立場では育休をとることは 権利上問題がなかった。
―経過報告―
第5週 妊娠発覚
第7週 直属の准教授・教授・ラボのバイトの方に妊娠報告
・産休・育休スケジュール・育休復帰後のバックアップ体制、妊娠・産休・育休中に差しさわりがあると判断される授業・実習とその他業務について書き出す
第8週 学科長・学部長へ報告
・代替教員制度について調べるため、他大学の女性研究者支援センターの女性研究者とコンタクトが取れた。 「〇〇(前任校)大学子育て支援行動計画」というオープンアクセスなPDF書類の存在を知る。(現在、多くの大学に同様の書類があると思われる)
・学科長・学部長には教授から妊娠報告と産休・育休期間の希望および「〇〇(前任校)大学子育て支援行動計画」を根拠とした代替教員希望などを報告してもらう
第9週 学生実験の共同担当者数名および夏季実習担当者に妊娠報告
・妊娠30週ごろに予定されていた登山実習の引率者の確保が必要なことを連絡
第15週 学科会議にて学科教員に報告、事務へ報告
(もう少し早く進めるはずであったが、実習で学科会議になかなか出られず報告が遅れた)
・事務へ産休・育休期間の希望を報告
・学会仲間の相談しやすい女性研究者が所属研究所の男女共同参画室に相談してくれて、他大学での代替教員採用の具体例を集めてくれた
第17-18週 教員の上層部の会議で「代替教員確保」について議題に上る
・「助教の産休に伴う代替教員確保に関する資料」および「他大学での代替教員についての聞き取り調査資料」を理事会へ提出
第20週 教授会で「代替教員確保」の方向性が承認される
第21週 「代替教員確保」が理事会通過
・・・採用候補者をさがし、候補者の2回の面接をへて・・・
第27週 代替教員候補者内定決定
・任期:私が産休に入ることにした日の翌日(X.10.1)から育休復帰(X+1.10.1)後の年度末(X+2.3.31)
(非常にありがたいことに、私が復帰後、半年かぶっていた。復帰後、半年は子供の風邪とそれを受け取って自分も発熱の嵐だったので本当にありがたい措置だった)
・待遇:任期付き助教(特任助教ではない)
第34週 産休に入る
非常に幸運だったポイント
・学部長・学科長・教授・准教授の理解が得られ、実現に向けて動いてくれたこと。
・学長が即決英断してくれたこと。
・小さい大学だったからかフットワークが軽く、申し出からたった13週間で代用教員内定までこぎつけられたこと。
→適切な代替教員の候補者が見つかったことも大きい。1年半の任期なのに、遠くから優秀な方に来ていただけた。
・他大学の女性研究者支援センターの女性研究者、学会仲間の相談しやすい女性研究者の協力を得られたこと。
下記に生態学会キャリア支援委員会および森林学会ダイバーシティ推進委員会のリンクを貼っておきます。他学会の研究者でも連絡すればいろいろな情報を提供してくれるはずです。